食べものは胃で「消化」すると思われがちなのですが、胃では胃酸の働きによってドロドロに「溶かされる」だけで、長い長い消化活動の第一段階が、この「溶かす」という作業です。
そして第二段階は十二指腸。ここで初めて「消化液」と混ざりあってブドウ糖やアミノ酸といった栄養素に「分解」されます。栄養素は目にはみえないくらいに細かなもので、十二指腸で消化された時点で食べものは消化液に溶けたもの、ほぼ水分だけになっています。
そしてこの水に溶けた状態の栄養素を吸収する最も大事な第三段階が、小腸の働きです。小腸は大腸より細いので小腸と呼ばれますが、よく知られているとおり6メートルにも及ぶ長さを持っていて、長い時間をかけて栄養が吸収されることがわかります。吸収と並んで大事なのは、免疫です。「外の世界」から入って来た食べ物が、ここで初めて、そして小腸だけで体内へ取り込まれるのです。万が一体に有害なものを栄養素と一緒に摂り込んでしまったとき、これを攻撃して発症しないようにする「免疫」機能がこの小腸に集中して備わっています。この機能は健康維持の上でとても重要です。この優れた免疫機能のおかげか「小腸がん」という病名を耳にすることはほとんどないくらいです。
この小腸で、栄養素と一緒に水分も8割が体内へ吸収され、残ったドロドロの「カス」が大腸へ送り込まれるのです。 (次号へ、つづく)。