消化器の働き ~下剤のお話し~【2024年3月発行】

どうしてもお通じが改善せず、辛いときには下剤を使うこともあるでしょう。
やむを得ないことですが、下剤だけで対応することには課題もあります。
下剤には①緩下剤(かんげざい)と②刺激性下剤の2種類があります。
①の緩下剤は「酸化マグネシウム」を使うもので、大腸が水分を吸収する
働きを抑え、便を柔らかく保ちます。②の刺激性下剤は、大腸を刺激する
ことで蠕動(ぜんどう)運動を促進して便の移動を早めます(漢方のセンナ
やダイオウもこれにあたります)。
つまり、大腸に充分便が溜まっている、適切なタイミングで飲まないと、
思ったような効果が得られず、べちゃべちゃの便が出るだけだったり、
便が出ないのに腸だけ動いてお腹がゴロゴロしたりという結果を招きます。
下剤は、コントロールが難しいのです。
さらに「大腸に充分便が溜まっている、適切な」状態をつくるためには、
これまでお話しした、食物繊維や腸内細菌が必要です。なぜなら、便の嵩は
食物繊維と腸内細菌の量で決まるからです。
辛くて、下剤が必要なときはあると思います。そういうときはサプリメント
より下剤の方が排便には即効性があります。ただ、下剤だけでは腸の働きを
改善することができず、下剤とのお付き合いも長く続くことになります。
もちろん、サプリメントを飲めば必ず改善するというものでもなく、食生活
や普段の活動など生活習慣全般が関わって、健康な状態が保たれるのは言う
までもありません。下剤に限らず、薬剤だけに頼るのではなく、その効果と
デメリットを知りながら体の状態に合わせて上手に使うことが大切だと思い
ます。