種のお話し(2)【2024年12月発行】

前回のコラムで、出雲産の種で出雲種のモロヘイヤをつくりたいという野望(?)を書きました。これは、実は何年もトライして、なかなか上手くは行っていません。餅は餅屋といいますが、やはり種は種屋なのです。一般に市販されている種は、収量を安定させ品質を均一化するために様々な研究を重ねた結果、F1(エフワン)品種として販売されています。このF1品種同志が交配すると、F2(エフツー)品種となり、親とは違う性質が現れるのです。

ではどうやってF1品種の品質を保つかというと、F1(子供)の親Aと親Bは別に育てられています。親Aの種は親A品種同士、親Bは親B品種同士で、永遠に親役として育てられ続けるというものです。これを自社で行うというのは、農家には難しいことです。

ただし、育った株は何万株もありますから、そこから良い株を探すことは出来ます。しかしまた次の壁が。モロヘイヤは同じ株に咲いた花同士では種ができない(他家受粉)種類ですので、「これは育ちが良い!」という株を見つけたとしても、その株だけで育ちの良い系統をつくることが出来ないのです。つまり、良いと思う株と、また他の良株との組み合わせを試してみて、その結果が1年後に出るという、とても気の長い野望なのです。

そんな気の長い話ですので、いつになればお客さまに出雲種モロヘイヤが届けられるのか、果たして私の在任中に可能なのかも自信がないという”妄想レベル”のお話しなのですが、そんな野望に燃えているのだなと、笑っていただければ幸いです。