~神頼み~(2025年4月発行)

例年どおり2月17日に出雲大社で「祈穀祭(きこくさい)」が執り行われ、今年も参列して来ました。出雲大社では「大祭礼」「献穀祭(けんこくさい)」と並ぶ三大神事です。とは言っても、賑やかな神輿や山車(だし)が繰り出すお祭りとは趣が違っていて、出雲の祭りは神官たちとともにひたすらお祈りをする、厳かな「神事」ばかりです。出雲大社といえば、全国から八百万(やおよろず)の神々をお迎えする「神在祭」の方が有名かも知れませんが、これも派手さは全くないものです。

さて、今回の「祈穀祭」は、主に地元の農業関係者が参列して今年の五穀豊穣を祈ります。ただ、最近ではいわゆる「農家」の参列は少なく、JA(農協)さんであったり、農政に関係の深い議員さんとかが多いように見受けられます。雪が降る中、皆が厳粛な面持ちで参拝しているのですが、内心では「この中で一番真剣に祈っているのは私だろうな」などと思っていたりします。

どんなに科学が発達しようと、農業が天候に左右されることには変わりがなく、努力が結果に結びつかないことも多々あります。もうこれは神頼みしかありません。現代日本が宗教と離れることが出来たのは農林水産業が衰退したからではないかとすら思えるくらいに、農家はしょっちゅう天に向かって祈ります。日頃、農業は科学だと言っている私ですが、その努力が報われる環境を与えてくれるのは天の恵みであり、たとえ非科学的であろうと、誰よりも真剣に祈って来ました。