幸せホルモン「セロトニン」 2025年10月発行

セロトニンは、私たちの気分や行動、睡眠、食欲にまで関わる神経伝達物質で、「幸せホルモン」とも呼ばれています。かつては脳内で主に働く物質と考えられていましたが、近年の研究により、体内のセロトニンの90%以上が腸で生成されていることがわかり、腸は「第二の脳」として注目されるようになりました。

腸で合成されたセロトニンは、中枢神経には届かないものの、腸の蠕動運動を助けたり、自律神経や免疫機能を間接的に調整する重要な働きを担っています。また、腸内環境が悪化すると、セロトニンの前駆体(材料となる物質)となる「トリプトファン」の吸収や代謝に支障が出るため、気分の落ち込みや不眠といった症状にもつながります。

さらに、セロトニンはメラトニン(睡眠ホルモン)の材料にもなるため、分泌が低下すると睡眠の質も悪化します。質の良い睡眠がとれないと、翌日の気分や集中力、代謝機能にも悪影響が及びます。こうした悪循環を防ぐには、毎日の習慣

がカギとなります。

腸の健康を保つためには、発酵食品・食物繊維・ビタミンB群を含む食事を心がけ、適度な運動や日光浴も重要です。モロヘイヤはトリプトファンやマグネシウム、ビタミンB6が豊富で、セロトニン生成を助ける食材の一つとしておすすめです。また、エゴマにもトリプトファンを含むアミノ酸がバランスよく含まれており、セロトニンの材料となる栄養素を補うのに役立ちます。

適度な運動や散歩など、日々のストレスを意識的に緩和する工夫も、セロトニンの安定分泌には欠かせません。