
これまで2回にわたって、腸が単なる消化器ではなく「第二の脳」と呼ばれる理由を書いて来ました。
けれど、これだけではありません。最近の研究では、腸の働きが私たちの全身の健康に深く関わっていることが、次々と明らかになっています。たとえば腸内環境の乱れは、「リーキーガット(腸もれ)」と呼ばれる状態を引き起こすことがあります。これは、腸の粘膜バリアが壊れ、有害物質や未消化のたんぱく質が血液中に漏れ出す現象です。これにより体内で慢性的な炎症が起こり、生活習慣病や自己免疫疾患のリスクが高まると考えられています。
また、腸は代謝の調整役としても重要です。腸内細菌が作り出す短鎖脂肪酸は、脂肪の燃焼を促したり、血糖値の上昇を穏やかにする働きがあります。腸内環境を整えることで、肥満や糖尿病の予防にもつながるのです。
アレルギーとの関係も無視できません。腸は免疫細胞の7割が集まる最大の免疫器官であり、腸内細菌がアレルゲンに対する過敏な反応を抑えてくれると報告されています。とくに幼少期の腸内環境は、将来のアレルギー体質に大きな影響を与えることが知られています。
さらに腸は、肌の調子にも深く関係しています。便秘や腸内の悪玉菌の増加が、吹き出物やくすみ、乾燥といった肌トラブルの原因になることも。腸内環境が整っていると、肌にも透明感やハリが出やすくなると言われています。
このように、腸は単に食べ物を消化する器官ではなく、全身の健康を支える「内
なる司令塔」とも言える存在です。毎日の食事や生活習慣を通じて、腸をいたわ
ることが、健やかな心と体への第一歩となるのです。















