価値観が変わる時節に(2021年3月発行)

『SDGs(エスディージーズ)』という言葉を、最近よく耳にするようになりました。『SDGs』は2015年の国連サミットで採択されたもので、国連加盟193ヵ国が2016年から2030年の15年間で達成するために掲げた目標“Sustainable Development Goals”の略称です。「持続可能な開発目標」と訳されていますが、私は持続可能な「発展」または「成長」という訳し方の方がピンとくるのではないかなと思っています。

『SDGs』は、現在の世界をより良いものにしていくため「地球上の誰一人として取り残さないこと」を目指し、17のゴール、169のターゲットから構成されています。(詳しくは本項下を参照)そこでまず、私たちが個人レベルで『SDGs』に、どんな貢献ができるのかを探してみると、【寄付・募金】【日常生活を見直す】【周りの人に広める】などがありました。

なかでも【日常生活を見直す】は、食料を買いすぎないようにしたり、電気をこまめに消したりなど、ほんの少し意識することから始められます。『SDGs』に取り組むことは大それたことのように思えますが、自分のこととしてまずは意識することが大事だと思います。弊社のような農業は環境業種でもあり、『SDGs』の17の目標に関われることが多い業種なので、弊社に何ができるかをスタッフみんなで意識していくことから始めたいと思っています。

今、地球規模で価値観が変化しており、世界各国が“価値観の転換”を意識し始めています。『SDGs』で、自分には何ができるのかを考えること自体が、これまでにない“価値観の転換”へ自分自身が少しずつ動き出すことではないかなと思います。

そんな“価値観の転換”の時節到来を実証するように、今、地方へIターン・Uターンを希望される方が増えていると聞きます。

島根県にも毎年4000人弱の方々が移り住んでいらっしゃいます。島根県は現在、新型コロナウィルスの感染者が0人の日もあれば1人とか3人の日もあるという状況で、テレビで映し出される首都圏などの状況とはまったく違います。ウィルス感染にあまり怯えることなく暮らせることは、田舎に住んでいる者の特権という考え方もできます。

今は、比較的安全な田舎に住みながら、日本中、ひいては世界中の人たちに、何かを発信していくことができる時代です。このコロナ禍が終息すると、地方移住を考える人がさらに増える可能性もあります。

島根県には都会的なものは何もありませんが、こういう場所で生きるということに価値を見出し移住したいと思ってくださるのなら、県民としてその方々に来て良かったと思っていただけるような受け入れ方ができればと思います。

『SDGs』の趣旨は、「物やお金を社会全体で奪い合うことにより生じる豊かさを測るのではなく、あらゆるものを守り育てていこう」というものだということです。これから人口が減る中で、田舎への移住を考える人々が増えているという“価値観の転換”の時節に、次の時代の生き方をきちんと考えていかなければならないことを感じているところです。

SDGs、17の目標1.貧困をなくそう 2.飢餓をゼロに3.すべての人に健康と福祉を 4.質の高い教育をみんなに 5.ジェンダー平等を実現しよう 6.安全な水とトイレを世界中に7.エネルギーをみんなに そしてクリーンに 8.働きがいも 経済成長も  9.産業と技術革新の基礎をつくろう10.人や国の不平等をなくそう 11.住み続けられるまちづくりを 12.つくる責任 つかう責任13.気候変動に具体的な対策を 14.海の豊かさを守ろう 15.陸の豊かさを守ろう16.平和と公正をすべての人に17.パートナーシップで目標を達成しよう