楽じゃないから楽しい【2022年5月発行】

農業シーズンが到来しました。暖かくなってくるとやっぱりやる気が出ます。コロナ禍は続いていますが、入学や入社のニュースで若者たちのインタビューを目にすると、縮こまってばかりはいられないという気持ちになります。

冬の間に土づくりをした畑が「早く活躍の場を与えてくれ」と待っている一方で、活躍してもらうまでにはまだまだやることがたくさんあります。「百姓は、同時に百のことをこなさなければならない」と言われますが、特にこの時期はそれを実感します。ビニールハウス内で生まれたての赤ちゃん苗の面倒を見ながら、外では耕運や畝立て溝切り、マルチシート張りなどを進めて行きます。全ての作業が天候に左右されますので、絶対に計画どおりには行かないというジレンマを抱えつつ、小さな苗の様子に一喜一憂する毎日は、本当に目が回るようです。

けれど、そういったときこそ「出番が来たな!」という気持ちがスタッフからも溢れて来るのは不思議なものです。人間というのは、もしかしたら「楽がしたい」と思っていないのではないかな?とすら思えて来ます。考えてみれば、スポーツにしても趣味にしても、簡単に出来ることはすぐに飽きてしまいますが、なかなか上手く行かないことを出来るようになりたくて熱中することは、よくあります。ただ、それには条件があって、「好きなこと」「情熱を注げること」なのだろうと思います。

そう考えると、やはり私たちは農業が好きなのだなと感じます。目の前の壁を乗り越えることで良い野菜をつくり、それを喜んでいただけることに喜びを感じる、そういう善い循環が日常にあることを感謝しながら、今日も農業に励もうと思います。