昭和【2022年6月発行】

毎朝の朝礼に、月ごとの「テーマ」があります。これまでも「読書」とか「食」とかの身近なテーマを中心に交代でスピーチをしています。

今月のテーマはいつもと少し趣を変えて「昭和」にしてみました。平成生まれが4人、あとは昭和30年代から50年代が多数を占めますから、この世代ギャップがどんな展開を生むのか楽しみでした。

昭和の音楽、昭和の家電、学校、文具、おもちゃ、漫画・・・毎日そんな話で盛り上がるのはなかなかに楽しく、懐かしさとともに今の便利さや感性の変化をしみじみと感じたりします。

平成生まれ組にとっては苦労の種だったようですが、ネットで調べたり親から話を聞いたりして、彼らなりの感覚で「昭和」を見つめてくれたようです。

昭和に人気だったものが、実は平成にもリバイバルで流行ったという事実を彼らから聞いて驚いたりもしました。平成世代との共通項は、やはりサザエさん。「黒電話が家庭に一台」「チャンネル争い」「野球でガラスを割って怒鳴られる」「お魚くわえたドラ猫」など、当時は普通の風景だったものを懐かしんだり、どうやら私も歳を取って懐古趣味が強くなってきたようです。

通信環境の劇的な変化で、生活が一変しました。「24時間戦えますか」「亭主元気で留守が良い」と言われたビジネスマンたちは、今や早く帰宅して家事もするようになりました。

人権や環境に対する意識も以前に比べれば劇的に高くなりましたし、家族全員がスマホを持ってるのも珍しくないことから、やはり豊かにもなっていると思います。

ただ、どこか「あの頃は良かった」という気持ちがあるのも否めません。自分が生まれ育った時代ですので、まるっきり否定もできないものですし、何かを失ってしまったような気持ちがモヤモヤっと湧き上がる感覚もあります。

これは一体どういう感情なのでしょう。明確にはわかりませんが、やはり過去を蔑ろにしたり否定したりするのではなく、それは大切にしていきたいなと思います。

現在は過去の積み重ねの上にあり、そして「今」も未来をつくる種になるのだということ、「温故知新」という言葉を思い起こしたひと月になりました。