地味で大事な冬の作業【2022年12月発行】

今年の収穫が終わり、畑では片づけが始まっています。土の保温や保湿機能を高めるために張っているマルチシートを全て剥ぎ取り、それが終わったらまた来年へ向けての土づくりが始まります。
弊社では、土づくりは主に牛糞堆肥を土に鋤き込むこと、土の天地返し(心土に刃を入れてひっくり返す作業)を土づくりの中心にしています。
牛糞は肥料にすることをイメージされるかも知れませんが、牛糞は肥料としての効きは弱く、土づくり資材(堆肥)として活躍します。近くにある牧場まで、2トンダンプで100往復以上してそれを全て畑に撒くのですから、農閑期と言ってもそれほどヒマにはなりません。
有機栽培の良いところは、こういった土づくりをきちんと行うことで土が粒状になり、保水力と同時に排水力を持ち、多くの菌が有機質を分解する環境を作ることで、肥料分を保つ機能が高まるというところです。化学肥料でも作物は育ちますが、土は育って行きません。夏にもお伝えしましたが、冬の土づくりは地味な作業である半面、有機農業の中核でもあります。
また、この作業がいつまでに終わるかというのも大きなカギを握り、「雪が降るまでに」というのが目標となります。雪が積もってしまうと堆肥撒きの作業はできませんし、雪の時期が終わって春が近くなると発酵時期として適切ではなくなってしまいます。「発酵」と「腐敗」は紙一重で、暖かくなってしまうと「腐敗」しやすくなってしまうのです。
「百姓は百のことを同時にこなさなければならない!」と目が回るようだった農繁期が終わり、農園スタッフも一息つきたい心境でしょう。そこへ今度は「土づくりが最も大事だ!雪が降るまでだ!」とまたハッパをかけられるのですから、苦笑いしていることと思います。地味な作業も手を抜かず頑張る彼らを応援してやって下さい。