健康食品の世界(3)【2023年7月発行】


2回にわたって、トクホ(特定保健用食品)制度について書きました。トクホ制度が上手く行かなかったことから、新たに制度化されたのが「機能性表示食品制度」です。この認定を受けるためには、トクホのような臨床試験までは必要なく、様々な学術論文などを集めて効果を証明し、国へ申請します。正確に言えば、「申請」して「許可」されるのではなく「届出」が「受理」されるだけという制度です。判り辛いですが、トクホのような正式に許可したものとは違い、国からしてみれば、必要事項が全て記入された「届出」を「受け取っただけ」なのです。こんなことはほとんど知られておらず、一般的には「国が認めたもの」と誤解されていると思います。
他にも、この制度にはいくつかの懸念があります。トクホも同じですが、食品のうちひとつの成分に着目して、それに対応するひとつの効果を言えるという制度上の原則があります。そうすると、例えばビタミンCは食物繊維と一緒に摂ることで効果が高くなると言われていますが、そういった「成分の相乗効果」については対象外と言える制度なのです。
人間は食品から多様な栄養を摂って健康を作っているので、ひとつの成分だけで効果が説明できるほど単純な生き物ではなく、機能性表示食品制度もまだまだこれから発展の余地があると思います。(次号へつづく)。