健康食品の世界(2)【2023年6月発行】


 先月、国が定めたトクホ(特定保健用食品)制度が思うように浸透しなかったというお話をしましたが、今でもトクホ制度はありますし、失敗に終わったということではありません。
ただ、健康食品事業者にとって非常にハードルの高い制度なのは間違いないと思います。
トクホの申請をするためには、その製品を使って「ヒト試験」つまり臨床試験をしなければなりません。この臨床試験のデータで製品の有効性や安全性の科学的根拠を示し、国の審査をクリアすれば国から表示が許可されます。ただこれが、莫大なコストと時間を要します。
金額的には「最低でも1億円から」と噂されるくらいの費用がかかる上に、効果効能よりも、実は安全性を証明するのに大変な時間がかかります。
一般的な食べ物(や弊社製品 )と違って、多くの健康食品は「成分を抽出して添加している」ものが大半を占めます。食品の安全性は人間の歴史「食経験」が証明しますが、抽出物を添加するということは、人類の食経験がない量を摂ることを推奨するわけで、摂取しても大丈夫だという試験結果が要
ります。短期的な毒性がないことはもちろん、長期に摂取しても安全なことを「ヒト試験」で証明する必要があります。
多くはもともと食品に含まれる成分ですので、安全だと推察はされますが、それを「証明する」ことは意外と難しく、実験には多くの人が長期にわたって参加しますので、時間もお金もどんどん嵩むということになります。「最低でも1億」なので、弊社のような中小企業は最初から申請が不可能ですが、大企業でもコストに見合う売れ行きがなかったらかなりの痛手となります。「胃」「眼」「骨」などの部位を言え、効果効能が明確に言えるとはいっても、表現方法は国が定めた硬い言葉に限られますので、お客さまに伝わり辛いという欠点はあります。
事実、トクホのヒット商品はさほど多くなく、費用対効果の面からかトクホ商品の申請・許可数は2015年をピークに年々減って行くこととなりました。それに代わる制度として登場したのが「機能性表示食品制度」です。           (次号へつづく)。