目指すは、未来型家族的組織(2020年5月発行)

4月から新年度になり、会社の新しい方針が動き出しました。2020年度の方針は「T&T」です。Think(考える) & Try(やってみる)、良いと思ったことはすぐにやってみる。これを毎日繰り返しおこなえば、会社は進化していくだろうという仮定のもと、新たな取り組みを始めました。 

1つめのチャレンジは、職制の廃止です。上司がいて部下がいて、中間管理職がいて、という指示命令系統が決まっているのが一般的な組織ですが、そのような指示命令系統をすべてなくしました。私も対外的には社長ですが、社内では総務をおこなう『幸福増進チーム』の一所属者となりました。 指示命令系統をやめた理由は、上司がいると部下は「指示を仰がなくてはならない」という決まりや固定概念を持ってしまいます。その上司からの指示が、自分の考えと多少違ったり不満があっても、指示通りにしなくてはならないというシステムになります。そうなると「上司の指示だからこうする」という諦めや依存の気持ちが芽生え、自主的に考えて創りあげようという気持ちを抑え込んでいるのではないでしょうか。ならば、みんな対等な関係であれば良いではないか、という単純な発想です。 

この考えのもとの2つめのチャレンジは、すべてのことを話し合いで決める、ということです。職制を廃止し対等な関係の1人1人が話し合うことにより、やらされ感や依存が大幅に減ります。皆で話し合って決めたことなら、自分の気持ちと多少の違いはあっても納得できますし、みんなで決めたことなので、その方向に共に進んで行こうと思えるのではないでしょうか。稀に話し合いで決まらないことがあったら、さらに大きな括りでの話し合いを持ち、それでも決まらなければ「私のところへ相談に来てね」と言いました。しかし、新年度が始まりしばらく経つのですが、未だ相談は一件もありません(笑)。

 「話し合いで社長の考えと違う方向に決まったら、どうすればいいですか?」と、ある社員が聞いてきたので、「そんなことは起こらない」と答えました。弊社の社風や理念、これまでお客さまに感動を提供するためにずっと働いてきた中で、少なくとも私が思うのと真逆だったり見当外れな結論が出るはずがないと思います。ただ、さらに考えてみると、ずっとお客さまに寄り添い、現場にいるスタッフが「これがいい」と考えて決めたことが私の考えと違っていたとしたら、スタッフの意見の方が正解なのだろうとも思います。 

“ティール組織”という、新しい形の組織理論があります。社長・上司が管理することなく目的のために進化を続けるという、近年出てきた組織の新しい考え方です。“ティール組織”には指示命令系統がないので、スタッフは常に自己成長を続けながら組織の社会的使命実現を目指します。  私もこの“ティール組織”を意識していますが、お互いを思いやりながら働く日本型家族経営をベースとした“未来型家族的組織”を目指し、進化して行きたいと思います。