NPO法人 アニマルレスキュー ドリームロード (2021年5月発行)

トリマー(犬や猫の美容師)の女性2人が立ち上げた、出雲市にある動物保護団体『アニマルレスキュー ドリームロード』。11年前に動物の保護活動を始め、3年前からはNPO法人として、約20名のボランティアスタッフの方々と共に身寄りのない動物の保護活動、お世話、譲渡をされています。今回は、NPO法人アニマルレスキュー ドリームロードを訪ね、代表の原 ゆかりさんにお話を伺いました。


あけみ「私はこれまで動物を飼ってきて、自分のペットは何があっても守りたいと思いますが、それ以外の動物は何かがあっても見て見ぬふりをしてきたような気がします。原さんはどうして身寄りのない動物たちの命を救いたいと思われたのですか?」

原さん「私は子供の頃からずっと動物が好きで、トリマーという職業に就きました。保健所で動物が殺処分されていることは知っていましたが、ある日、殺処分場へ行くトラックに動物が乗せられる様子を目の当たりにし、胸が張り裂けそうになりました。そして、私に何かできないかと強く思い、11年前に友人たちを誘って動物の保護を始めました」

あけみ「その頃、出雲保健所は殺処分が多かったのですか?」

原さん「すごい数の動物が殺処分されていました。保健所では保護施設の規模ごとに引き出せる犬・猫の数が決められており、その数以上は引き出せません。ですので、動物の保護を始めた頃は保健所に収容される犬猫の数が多すぎて救えない命がたくさんありました。命が救えなくて毎日泣いて泣いて、それでも保護して、お世話して、仕事をして、里親さんに託してという日々で、今施設に何匹いるかなど考える余裕もなく、とにかく1匹でも多く助けたいと、本当に必死で頑張ってきました。振り返ると、この10年で出雲保健所の殺処分はだんだんと減り、3年前には0になりました。今は保健所に動物が入っても私たちが引き出せるほどの数で、可能な限り救ってあげられるようになりました」

あけみ「保健所の動物を引き出す以外にも保護をされていますか?」

原さん「捨てられた動物も保護します。今、うちにいるのは運良く保護された子たちですが、ここに辿り着くまでにすごく辛い目に遭って、やっとここへ来るのです。その日までミルクをもらっていたのに、突然知らないところにポンって捨てられて、雨が降ってビショビショに濡れて、カラスに突かれて、車に轢かれそうになって、病気になって、いろんな人のそばへ行ってニャーンってないても知らん顔されて、本当に苦労して苦労して、小さな小さな子がボロボロになってうちに来ます。その子を病院へ連れて行って治療してもらって、3時間おきにミルクを飲ませて育てます。ここにいる子たちは1匹1匹に、悲しくて辛いドラマがあります」


あけみ「本当に大変な思いで保護し育てて来られた子を里親さんに託されるときには、どんな思いで託されていますか?」

原さん「私たちは1匹1匹にご縁があるようにと活動していますが、望まれたら誰にでも譲渡するわけではなく、実は断ることも多いです。人間はクロがいい、ミケがいいと動物を選べますが、この子たちは飼い主を選べません。良い家へ行けば一生幸せですが、そうでないところへ行くと本当に不幸になってしまいます。この子たちが幸せになるのも不幸になるもの私たちの譲渡にかかっており、とても責任を感じます。譲渡会を不定期で開催していますが、最初はどの人も疑ってかかり、いっぱいお話しをして、契約書を書いてもらい、最終的に家まで行って届けます。大切な大切な1匹1匹なので、この家族なら託せる!と、納得できた方だけに託しています」

あけみ「出雲保健所の殺処分が0になり、次の目標はありますか?」

原さん「出雲では動物の命を大切に考える人が多くなったと感じています。しかし、私たちは年齢的に保護活動をするのはあと10年と思っています。譲渡されなかった子が天寿を全うするまで20年とすると、私たちの年齢で10年後以降も保護を続けると、最後まで見てやれません。ですので、保護はあと10年で終えたいと考えています。残されたこれからの10年は保護・譲渡だけでなく、私たちが活動しなくてもいい世の中にしていかなければならないと思っています。そのためには子供の頃から動物の命について知ってもらうことが大切と考え、絵本を作って配るなどしたいと考えています。また、ペットを簡単に保健所に持ち込む人、野良猫に餌を与える人、高齢で子犬を飼い始める人など、よくわからないで動物に酷いことをしてしまっている人があまりにも多く、どうしてそれがいけないのかを一緒に考えてもらうため、SNSなどで情報を発信するなど啓発活動に力を入れたいと考えています。事実を知り考えてもらうことで、捨てられたり、保健所に持ち込まれたりする動物をなくして行き、10年後には気持ちよく活動を終えることができるよう、今みんなで頑張っているところです」

★アニマルレスキュードリームロードさんは動物の保護を行なっていますが、動物の持ち込みをしていい場所ではありません。施設は常に満室状態なので、動物の飼育も保護も、ご自分で責任を持って行なってください。(あけみ)