元気、パワー、感動をもらった出来事。(2021年11月発行)

以前にこのコーナーで紹介しましたが、弊社の朝礼は“月のテーマ”に沿って日替わりの司会者が2分間のスピーチをすることになっています。9月のテーマは『読書』でした。司会者が話した後、そのテーマに沿って全員が感想を言うので、本が嫌いな人でも毎日読書について語らなくてはならないという、ちょっとキツイ1ヵ月だったのではないかなと思います。

弊社農園スタッフの飯塚京美が今年の年頭に掲げた目標は「毎週一冊本を読む!」というものでした。元々本を読むのが苦手でそのような目標を立てたようです。知的障がいを持つ彼女は、たまに少女のようなことを言うので、私はそのとんでもない目標に驚きながらも、それを否定することもできず苦笑いしながら聞いていました。

それから35週目にあたる9月、飯塚京美は35冊の本を読んだでしょうか?おそらく、自分が宣言したことは覚えているけれど、週一どころか月一も、いや、もう秋なのに、おそらく一冊も本を読んでいない疑いさえあります。そこに、たまたま『読書』というテーマが登場し、毎日のように目標を思い出して、何を感じていたのでしょうか。

そんな時、同じ農園スタッフで同じ21歳、同じ9月生まれの渡部瑞季が、「この本は良いよ」と推薦したのが、ゴルゴ松本さんの『あっ!命の授業』という本だったのです。この本は、お笑い芸人である著者が、ボランティアで少年院を回って少年たちに独自の漢字を使った『命の授業』をしており、その授業を書籍化したものです。

私はものの見方や考え方について書かれている本が好きなので、この『あっ!命の授業』を読み、会社のみんなにも読んでもらいたいと、弊社の文庫に提供していました。飯塚京美はその本を借りて帰り、約20日間ほどかけて読み終えたようです。彼女の感想や、読書の進行状況も、朝礼を通じて把握していましたが、その一方で「読み終えた後は、どうするだろう」と気になっていました。

そして読了後、彼女の行動は私の予想を良い意味で裏切るもので、なんとすぐに次の本を読みだしたのです。朝礼での彼女の話によると、次に読んだ本は『アンパンマン』の作者である故・やなせたかしさんの著書らしいのですが、図書館にお母さんと一緒に借りに行ったそうです。娘から図書館へ行こうと誘われた時、お母さんはどんな気持ちだったでしょうか。農園の仲間が読んでいる本のこと、自分がこれから読みたい本のことをお母さんに話したのなら、きっと感動してくださったのではないかなと想像して、私の喜びも倍増です。

弊社では、その人の人生の役に立てばいいなと思い、さまざまな活動をしています。朝礼、美化運動、委員会活動、毎日の卓球も文庫なども、全てがそうです。

けれどそれは私の独りよがりで、実際は面倒だと思われているかも知れません。また、直接お客さまに喜んでもらえることではないですし、もしかすると無駄になる時間も多いのかもしれません。そんな中でも、たまに「やってて良かった!続けてて良かった」と思うことがあります。飯塚京美が本に興味を持ってくれたことも、その一つです。

こうなるといいな!と願ったことが実際に起きた時、想像以上だった時、元気、感動、パワーをもらえますし、その喜びを味わってしまうと、やめられません。やっぱり無駄なんかじゃないと、また次の活動を考えたりしてしまいます。